skyさんのところにもあった件なのですが.
実施の可能性探らず 「大文字」被災マツ中止(京都新聞)
東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市のマツを大文字の送り火で使う計画が中止された問題が波紋を広げている。経過を検証すると、放射能汚染の不安の声を受け、大文字保存会(京都市左京区)と京都市が相談を重ねたものの、一度は引き受けた事柄の重大さと、中止による反響の大きさを真剣に検討しなかった両者の自覚の欠如が浮かび上がる。
「(全数の)放射能検査は安全、安心のため。送り火でたく前提だった。検出しないのにやめる選択は思っていなかった」。9日の市議会の委員会で、中止の経緯に関する質問に対し、市の担当部長はこう説明した。
マツ受け入れの計画が持ち上がったのは6月中旬。報道で知った市民からは「放射能をばらまくのか」などの意見が市に約40件寄せられ、保存会にも「琵琶湖の水が飲めなくなる」と抗議があった。
検査は7月下旬、市文化財保護課と保存会が、陸前高田で集まったマツの薪約300本すべてのかけらを採取して行った。既にサンプル検査でセシウムは未検出だったが、飼料の稲わらの放射能汚染の拡大を受け、両者で追加検査を決めた。
結果は4日に出てセシウムは検出されなかったが、保存会ではその時点で受け入れ中止が固まっていた。
保存会関係者は「中止の影響の大きさは議論になったが、放射能の不安を払拭(ふっしょく)できないという意見が消えなかった。送り火に参加しないという会員もいた」と話す。こうした、会の内部で溝が埋まらない状況を市は十分把握していなかった。
保存会は大文字山のふもとの45軒が会員。木の確保や点火作業をボランティアで受け持つ。大文字を含む五山の運営は各保存会で決め、市は直接関与しないが、企業や団体でつくる送り火の協賛会を通じて点火作業に補助金を支出している。
9日夕までに市と京都府に寄せられた意見はメールを中心に1100を超え、大半は中止への抗議という。同日の市議会で西出義幸文化市民局長が「対応を明確にしていれば影響は抑えられた」と答えたが、被災地の思いをくみ、両者がとことん実施の可能性を探った形跡はみられない。
こんな腰の引けたダメな対応ってあるでしょうか.
『私たちは合理的に判断できないし,判断しません.』
という表明のようなものになってしまうという危機感はなかったのでしょうか.
>報道で知った市民からは「放射能をばらまくのか」などの意見が市に約40件寄せられ、保存会にも「琵琶湖の水が飲めなくなる」と抗議があった。
こういう反応が少ないながらもあるのは想像できましょう,しかし,そういうことにはならないっていうこともきっぱり言える範囲のことじゃないでしょうか.
リスク・コミュニケーション(wikipedia)ってものが行われていませんね.
それは国民がそういうことに慣れてないから?
ボタンのかけ違い,政府や学者がコミュニケーションより先に信用を失ってしまった?
対応の遅さ,ロードマップが示されない不安,何を信じていいかわからない状況にしてしまった責任は大きいですね.
※追記
もう思い無駄にしない 大文字保存会が謝罪(京都新聞)
岩手県陸前高田市から新たに届いたマツを送り火で受け入れる方針を決めた大文字保存会(京都市左京区)は11日、当初の中止から今回の決定までの経過について謝罪した。五山がそろって被災地のマツを燃やすことになり、慰霊と復興祈願の火をともす16日夜に向けて思いを新たにしていた。
「陸前高田市の皆さんや京都市民など、多くの皆様に迷惑と心配をかけた」。大文字保存会の松原公太郎理事長(58)は11日、京都市左京区の保存会事務所前で沈痛な表情で語った。
新たなマツの受け入れについて11日未明まで5時間以上に及んだ理事会で議論したことについては「いろんな意見もあり揺れたのは確か。心理的プレッシャー、言葉にできないものがそれぞれにあった」と説明した。
議論の中で、ほかの保存会から「五山そろってやることが良い」との呼び掛けがあり、京都市から放射能検査について「責任を持つ」との回答があったとして理解を求め、11日朝に最終決定した。
中止した当初の計画に携わった陸前高田市の関係者にも連絡し、「理解まではいかないが、了解いただいた」という。
京都市との関係について「多少の行き違いはあったが、修復したい」と述べた。被災した人たちへの思いを問われると、「点火終了後に現地におわびに行かないといけないと考えている」と何度も頭を下げた。
ということで,一応の対応が取られたということはよかったと思います.
※さらに追記,今度は一転,セシウムを検出したので再びとりやめ.後味の悪い迷走.
被災マツ「送り火」断念 セシウムを検出(京都新聞)
京都市は12日、「五山の送り火」に岩手県陸前高田市のマツを使うことになっていたが、表皮部分から放射性セシウムが検出されたため、使用を断念すると発表した。
市によると、民間の検査機関で同日、500本のマツの表皮を少しずつ切り取って1検体として検査した結果、1130ベクレルのセシウムが検出された。
市文化財保護課は「誠に残念な結果だが、中止せざるをえない。被災者や多くの市民にご心労をおかけして申し訳ない」と謝罪した。
表皮だけを測ったんですね.表皮を除けば検出されていない.表皮を剥いだらいいでしょうに.とにかく及び腰.
陸前高田のがれきでも検出されてたんだからフォールアウトで表面に付着しているだろうことは当然考えられることじゃないでしょうか..
陸前高田の松、再び使用中止=表皮からセシウム-五山送り火のまき・京都(時事.com)
まきは陸前高田市で既に盆の迎え火として燃やされたため、京都市は高田松原の松で作ったまき500本を新たに取り寄せ、安全性を確保するとして放射能検査を実施。全ての表皮を集め検査した結果、セシウム134が1キロ当たり542ベクレル、セシウム137が同588ベクレル検出された。表皮以外からは検出されなかった。
※すみません,さらに追記
経緯は『薪』として使用することを一時中止して,『護摩木』として燃やすことにしたわけですよね.
陸前高田の松、「大文字」も使用=京都の五山全てで護摩木に(時事.com)
表皮は護摩木にならないんじゃないでしょうか?
表皮を燃やすわけじゃないんですよね?
護摩木の放射線量を測るべきじゃないでしょうか?
これ,本当に腹立たしいのですが..
陸前高田のがれきでも検出されてたんだからフォールアウトで表面に付着しているだろうことは当然考えられることじゃないでしょうか..