朝日新聞がEMを取り上げてる
しかもマイタウン・青森版だ.
EM菌「効果疑問」検証せぬまま授業(asahi.com)
2012年07月03日
「EM菌」という微生物を川の水質浄化に用いる環境教育が、県内の学校に広がっている。普及団体は独自理論に基づく効果を主張するが、科学的には効果を疑問視する報告が多い。県は、効果を十分検証しないまま、学校に無償提供して利用を後押ししている。あいまいな効果を「事実」と教える教育に、批判の声も上がっている。
EM菌は乳酸菌や酵母などの「有用微生物」を配合した微生物資材。農地の土壌改良用に開発されたが、水質浄化や健康飲料としても利用されている。環境保全の市民活動や有機農法を行う農家に広がっている。
県教委によると、昨年度、環境教育の一環としてEM菌を使用した小中学校は県内に7校。ほかの複数校でも使用例がある。多くは、EM菌を地域の川にまくことで「きれいになる」と教えている。
県東青地域県民局は2004年から、管内の希望校にEM菌を無償で提供し、実践を支援している。提供開始にあたり、県はEM菌による浄化活動が行われている川で1年間、水質を調査。だが、顕著な改善は確認されなかったという。
にもかかわらず継続している理由を「学校が水質浄化に関心を持ち、活動してくれること自体が有り難いことだから」と担当課長は話す。担当部署はこれまで、EM菌の効果を科学的に検証した文献の調査などはしていない。
EM菌の効果について、開発者の比嘉照夫・琉球大名誉教授は「重力波と想定される波動によるもの」と主張する。製造元で普及を進めるEM研究機構(沖縄県)は「EMに含まれる微生物がリーダー的な存在となり、現場の微生物を連係させる」と環境浄化メカニズムを説明する。また、機構は「放射能対策に効果がある」とも言う。
だが、疑似科学問題に詳しい科学者らは、EM菌の効果や理論を批判する。菊池誠・大阪大教授は「原理は物理的にナンセンスの一言。何でも都合の良い方向に働くとの万能性をうたっていること自体が、非科学的だ」と指摘する。
水質浄化の効果についても、否定する報告が多い。
岡山県環境保健センターは1997年度、EM菌は水質浄化に「良好な影響を与えない」と報告。実験用の浄化槽にEM菌を加えて600日間観察したが、EM菌のない浄化槽と同じ能力だった。広島県も03年、同様の報告をしている。
三重県の05年の報告は、海底の泥の浄化に「一定の効果があると推定」した。湾内2カ所の実験で、1カ所で泥中の化学的酸素要求量(COD)が減少したためだ。だが、水質に関しては効果がなかった。
岡山県の検証に参加した職員は「川や池でも試したが効果はなかった。EM菌が効く場合が全くないとは言い切れないが、どこでも効果が期待できるようなものではない」
と指摘する。
長島雅裕・長崎大教育学部准教授は「疑わしい事柄を真実と教えれば将来、生徒が疑うべきものを疑えなくなる恐れがある。本来は多様な対策が必要な環境問題を、EM菌だけで対処可能と思わせることも、思考停止につながりかねない」と話した。
◇「川きれいになる」と教えた
青森市の中学校の1室。壁沿いの棚に黒い液体の入ったペットボトルが数十本並ぶ。6月に県から提供されたEM菌の原液だ。
「県の支給なので、まさか効果に疑問があるものとは思わなかった」
中学校で、EM菌による水質浄化を指導する女性教師は話す。近所の川にEM菌をまく活動は、前任者の時代から10年以上続いてきた。1学級2人ずつの美化委員会が、年数回活動している。
委員以外の生徒からも家庭のコメのとぎ汁を収集。EM菌の原液と混ぜて灯油缶で「培養」し、川に流す。生徒たちは、真冬の雪の中でも積極的に参加した。流したEM菌の液は昨年度、1千リットル超。教師は「川がきれいになる」と教えてきた。
文化祭では毎年、生徒がEM菌の効果をインターネットなどで調べて発表。効果を否定する情報を見付けた生徒もいたが、「様々な意見はあるけど信じよう」と指導したという。
教師は、効果に疑義があると知り「生徒にはきちんと説明したい」と語る。県の担当者は「配るのは学校側の要請だから」と責任を否定している。 (長野剛)
記者の長野剛さん,以前もホメオパシーを正面切って否定され,グッジョブでした,疑似科学に関心がおありのようですね.
このEMについては私も過去,何度も批判してきたことです.
しかし,県が率先して広めてきたとは,ショックです,考え直して欲しいです.
最近では福島でこの微生物が放射線の除染に効果があるとか,ありえない話を広めているんですよね.
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コメント
>放射線除去に効果・・
って、微生物が放射性物質を食べて無害なものに変換でもしてくれるんですかな?HiHi
水質改善したいんなら炭でも入れておけば? 活性炭なら間違いないですけどね。
投稿: jh7めv/職場ッス | 2012年7月 4日 (水) 08時59分
全く仰るとおりです。
この手のものも妄信者に発言させると「オカルト」に近くなります。
少しは効果があるものだとしても、流れる川に入れても何処かに流れていってしまうだけ、大袈裟に言えば余計なものを入れるので水質汚染になる。(笑
山女や岩魚、水生昆虫たちに言わせれば迷惑な話だろうな。
投稿: JA7QQQ/8 | 2012年7月 4日 (水) 09時10分
>めv殿
>微生物が放射性物質を食べて無害なものに変換でもしてくれるんですかな?HiHi
それがシャレにならんのです,市議会議員を巻き込んで...
ttp://blog.goo.ne.jp/ootake_kouichi/e/534c24585cd80d3a1eb5fb57b189cd44
>QQQさん
『波動』『重力波』まったくのオカルトです.
過去の経緯では実際にカルト宗教との関連も言われていました.
そういう背景を知っていれば警戒されてしかるべきなのですけどね.
生徒が気がついても,
>「様々な意見はあるけど信じよう」と指導した
こんな先生が多いのですね,思考停止,考えたくないのでしょう.
ぜひ仙台の大野田小学校の子供たちを指導した先生,土木事務所の対応を見習ってほしいものです.
投稿: Yamada | 2012年7月 4日 (水) 09時27分
いやはや、とんでもない県教委ですね
教師も子供達も可哀そう
昔、例のタマちゃん騒動
いる筈の川にホタテを投げ込んだ団体
県教委では無かったが環境汚染でした
投稿: sky | 2012年7月 4日 (水) 09時51分
これは全国的に広がっていることなんですよね.
skyさんの地元だってそうです.
ttp://www.townnews.co.jp/0112/2010/05/27/50388.html
無批判に『いいこと』として広まってしまっているのが現状です.
投稿: Yamada | 2012年7月 4日 (水) 10時22分
タウンニュースですか
各区域で発行されるフリー新聞ですね
困った事をして得意になっていますねぇ
投稿: sky | 2012年7月 4日 (水) 14時34分
この比嘉教授の論文(?らしきもの)を拝見しましたけど、農業素人の私が見ても突っ込みどころ満載で笑えるHiHi
EM菌を5t/10a散布だそうですが、鶏糞なら2t/10aに相当するらしい。
ってことはEM菌ってやつは鶏糞以下なのか?
それにEM菌販売の会社は親族ががっちり固めているし・・ダメだこりゃwww
投稿: jh7めv/職場ッス | 2012年7月 4日 (水) 16時45分
>skyさん
善意でやっているだろうところがやっかいなのですね.
このような記事で問題点とされているところが周知されると違ってくると思いますね.
>めv殿
農業分野でやっている分にはたまたまうまく行くこともあるでしょう,ただ,これは微生物『群』なのであちこちで違うものが出来上がって効果があった,なかったと分かれるわけですね.
『群』とひとからげにして絶対的な効果をうたうからおかしなことになるのですが,いいもの,悪いものの二分法の『わかりやすさ』が目を惹くけど,落とし穴なんですね.
波動とくっついて農業を飛び出してからはへんてこりんな方向に向かいましたね.
投稿: Yamada | 2012年7月 4日 (水) 18時49分
ああ,↓この論文はある時期までのEMのことがよくわかる,プレビューしてみて
沖縄における「EM(有用微生物群)」の受容 : 公的領域で語られたEM言説を中心に
投稿: Yamada | 2012年7月 6日 (金) 00時40分
はじめまして。呼吸発電と申します。
TwitterでEM関連の情報収集とまとめ作成をしています。
先日ブログも書いてみました。http://powerbreathing.seesaa.net/article/279959191.html
よろしければご覧ください。
投稿: 呼吸発電 | 2012年7月13日 (金) 12時54分
>呼吸発電さん
はじめまして.blog,Togetter拝見しました.
たいへん詳しく簡潔にまとめておられると思います.
きくち先生のTwitterで呼吸発電さんのアイコンもお見かけしていましたよ. 私はTwitterやってないんですけど(汗
ご紹介ありがとうございました.
ますますのご活躍を期待します.
投稿: Yamada | 2012年7月13日 (金) 22時04分