ダイオキシン報道
2004年に出産した女性の母乳中に含まれるダイオキシン類の濃度が、1990年代の調査結果に比べて、ほぼ半減していることが、北海道大や福岡県保健環境研究所などの共同研究で明らかになった。
26日から愛知県で開かれる日本食品衛生学会で報告する。
ダイオキシン類はゴミ焼却時などに発生し大気などの環境中に排出、人体へは大半が食べ物を通して蓄積される。調査は、出産後約1か月たった年齢21~47歳(平均年齢31・2歳)の北海道在住の母親60人から母乳を採取し、脂肪1グラム当たりのダイオキシン類の濃度を測定した。その結果、平均値は13・7ピコ(1ピコは1兆分の1)・グラムだった。
これに対し、同研究所や九州大が1994~96年に西日本で測定した母乳中のダイオキシン類濃度の平均値は、20~28ピコ・グラム。旧厚生省の「母乳中のダイオキシン類に関する研究班」が1999年に岩手県や大阪府など全国6府県で採取した平均値は24ピコ・グラムで、今回測定した結果に比べ、ほぼ2倍高かった。わが国では1999年に、ダイオキシン類対策特別措置法が成立した。
(2006年10月19日3時2分 読売新聞)
何かデ・ジャ・ヴュを見るような記事でした.
ダイオキシンや環境ホルモンについてはマスコミがミスリードしてきた部分がありますね.
記事を読むと何か特措法が功を奏したように読めますが,特措法以前から減少しています.それは過去の農薬の規制が効いているからですね.
まあ,今後長い年月の後には特措法の効果が現れてくるのかもしれませんが,現状問題となるのは河川湖沼,港湾の底,農地に蓄積された「底質汚染」とそこに生息する魚介の摂取でしょう.
また中西先生の記事に登場願いますが,特措法以前の新潮1998年12月号に掲載されたものをご覧下さい.
ダイオキシンや環境ホルモンについては煽ったマスコミよりもリスク学者さんが言ってきたことの方に軍配が上がると思います.
一部抜粋・引用します.
今年の春、厚生省は母乳中ダイオキシン類の経年変化を発表した。分析したのは大阪府公衆衛生研究所。何と一九七三年からこの二五年間に、母乳中のダイオキシン類は半減していた。ごみの焼却だけがダイオキシンの原因だと、思っていた人には全く理解できない結果だったらしい。先に述べたように、かつては農薬の不純物がダイオキシンの主たる原因であり、それが現在は禁止されているから母乳中のダイオキシン類は減少するのである。これは欧州も同じで、歴史的には化学合成品の不純物がダイオキシン汚染の主要な要因で、その後焼却の寄与が加わるが、化学品の規制で環境中のダイオキシンは減少しているのである。
日本の場合には、もう一つダイオキシン摂取量が減少する原因がありそうだ。それは我々の食品の輸入品依存率が上がっていることによる。食べ物の大半を外国や遠洋に依存していれば、日本のダイオキシン汚染と関係なくなるのは当たり前である。
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