たばことダイオキシン
たばこの毒、細胞内ではダイオキシン並み 山梨大研究(朝日新聞)
たばこを吸うと、猛毒ダイオキシンが大量に体内に入った時と同じ反応が細胞内で起こる――。こんな報告を、山梨大医学工学総合研究部の北村正敬教授(分子情報伝達学)らが、米学術誌「キャンサー・リサーチ」15日号に発表する。
ダイオキシンはヒトの体内に入ると、細胞にある受容体(カギ穴)にカギが入るように結びついて細胞を活性化させ、毒性を発揮する。国は健康に影響しない1日の摂取量を、体重1キロ当たり4ピコグラム(ピコは1兆分の1)と示している。
北村さんらは、たばこの煙とこのダイオキシンの受容体とのかかわりに着目。市販されているたばこ1本分の煙を溶かした液体を使い、マウスの細胞の反応を調べた。国の基準の164~656倍のダイオキシンが受容体に結びついた状態にあたる活性がみられ、タール量が多いと活性も高くなる傾向が出た。
ダイオキシンを「猛毒」とする記事には以前から批判も多いです.
まず,急性毒のことなのか慢性毒についてなのかぐらいは言及して欲しいところ.
ダイオキシンの毒性を「サリンの17倍の猛毒」と表現するのをよく見聞きしますが,これはモルモットの致死量から人間へと単純に換算したもののようで,人間に対してホントにそう言えるのかどうかは確認されておらず,実際,ダイオキシンの急性毒性による死者の例を知りません.
ウクライナ共和国の大統領選で毒を盛られたユシチェンコ氏でさえ命を失うことはなかったわけで..
慢性毒に関しても,普通の環境で普通のものを飲食していれば(妊婦さん,妊娠予定の方は注意して頂くとして)ダイオキシンはそれほどの脅威ではなかろうと思います.
新聞記事表題の「たばこの毒、細胞内ではダイオキシン並み」から読み取ると,記者さんは元来,“ダイオキシンの毒”>“たばこの毒”と思われていたのでしょうか?
どうも私の感覚と違います.
たばこのリスクの方が端から重いだろうと思います.
そもそも,たばこの煙にはダイオキシンが含まれているようですので記事のような結果が出て何の不思議も無いようにも思います.
ま,私のようなアマチュアの言うことよりも安井センセのサイトの記事でも読んで頂くほうがいいと思います.
以下,摂取量編から
たばこの煙は、ダイオキシン発生編でも述べたように、1本あたり、20~40pg-TEQのダイオキシンを含むとされている。もしも40pgだとして、1日20本、そして、摂取量とはそんなものだとして100%を掛けて計算すると、なんと800pg/日となって、食品から摂取しているとされているダイオキシン量120pg/日のなんと6~7倍になる。下の表では、それはあまりなので、吸収率を25%として、200pg/日という値にした。それでも、食品からの摂取量を上回っている。
いくら食事に気をつけていても,隣でたばこを吸われたらおしまいってことか?
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コメント
Yamadaさん こんにちは.
焼却場の排煙中のダイオキシン測定はリアルタイムでは測定できず,サンプリングとなります.
その為一番排出量の少ない時(高温燃焼時)に測定しているのではないかと思います.
燃やし始めや終わりの時はもっと多いはずです.
ダイオキシンのリアルタイム測定方法がいろいろ提案されていますが,法律で測定方法が規定されている関係で普及していません.
リンク先の記事で
>発生源周辺がなぜかそれより低い、0.75。
とありますが,焼却場の場合,排煙を上空に打ち上げていますので,周辺に落ちる確率は減るはずです.
私の自宅も焼却場の近くにあり,丁度落ちてくるあたりです.幸いなことに最近は大型ゴミの破砕場に変わったようで,炉は停止しているようです.
投稿: TAMO | 2006年7月13日 (木) 23時25分
TAMOさんこんにちは
特措法まで作って整備された焼却場ですが
大気中とか煤塵から摂取するリスクよりも
過去の農薬由来のダイオキシンを
生物凝縮で食物として取り入れる
リスクの方が大きいものと理解しております.
いろいろ考えるとやっぱりたばこが一番よろしくないですね.
投稿: Yamada | 2006年7月14日 (金) 00時21分