« キレたと言う電球 | トップページ | クールビズのあとは »

2005年8月25日 (木)

疑似科学・未科学

プロフィール  

出来は悪いが理系コテコテ人間。
理科離れの世の中に蔓延する疑似科学話にはちょっと口を出したくなるタチ

と書きましたが,まだそのテの話題が出てきていませんでした.
これから,ちょこちょこ,気になったものについてはコメントしてみたいと思っています.
なんか,Radio Clinic がさっぱり Radio の話になりません(汗

TV番組やバイブル本など,世の健康情報,環境危機を煽る情報には眉唾なものが多いですね.
波動,電磁波,遠赤外線,磁気,マイナスイオン,血液サラサラ,環境ホルモン,なんちゃら活水器,etc.

「目に見えないモノ」   に対して, 「“一見”科学的な説明」   をつけられると
「へー,そうなのか」
と無批判に思ってしまう傾向があるのではないでしょうか?
理数科離れと言われる今の社会では,批判しようにもその素地が育てられていないのだと感じます.

自然科学には 「言った者勝ち」   ではない科学の 「ルール」   があります.
数学と違って,科学には 「絶対正しい」   はありません, 「正しいと言っていいだろう」   はあります.
ニュートンもアインシュタインも自然現象を完璧に法則化したわけではありません,しかし,それでも,彼らは彼らの視点において正しかったと言っていいでしょう,ということになります.

その一方で,身勝手な理論を流布するトンデモな“疑似科学”や仮説に留まっているだけの“未科学”が存在します.
それらは書店に平積みされていたり,毎日のTV番組で紹介されています.
「そんないいかげんなものは学会で淘汰されるだろう.」
と思われるのはもっともですが実情は違います.

「○○はコレコレこうなのだと推察されます.」
みたいな学会発表や投稿があったとして,それが評価に値しないトンデモであっても
「××氏の説は間違っている」
ということを証明するだけの研究をするほどヒマな研究者はいませんし,批判のためだけの研究予算など取れません.
また,「学会」と言っても身内だけの自作自演学会もあり,放置されることになるわけです.

そもそも,新しい仮説が立てられたときにそれを証明する責任は新規性を主張する側にあるのであって,否定派が 「それは違う,ということ」   を反証する必要はありませんし,反証は一般的に難しいものです.
「幽霊は存在する」   という説に対して 「幽霊はいないこと」   を証明しようとしてみて下さい.
枯れ尾花である可能性,屋根裏のネズミである可能性,飲みすぎた焼酎のせいである可能性...全ての可能性を検証し尽くすことは不可能です.
逆に「存在することをこうやって確認した」という事実があって,その証明過程において見落としが無ければ「いると言っていいだろう」ということになるでしょう.
「私の説が間違っていると言うのなら,間違っていることを証明してみろ.」
と言っていたら,それは疑似科学者の常套句です.

△△博士が推薦
学会で発表
□□研究所で確認
特許取得
著書多数
体験談
TV番組で紹介された
◎◎と言われている

いずれも, 「科学的正しさ」 とは直接関係ありません.
教科書に載っていないミラクルなことはそうそう滅多に起こりません.
きちんとした 「科学的方法」(by Wikipedia)のルールを知っていれば氾濫する疑似科学話に惑わされることも少なくなるだろうと思うのです.

科学的正当性を持ち出すと
「科学は万能ではない,わからないこともある.」
と,かえって反発される方がおられます.
しかし,だからといって疑似科学を信じる必要も全く無いわけです.
科学的説明を敬遠して,“科学っぽい”仮説のほうを尊重するのは間違っていると思います.
それならハナから“科学っぽさ”を棄てて信心,信仰の道,では?と思われるのですが,どっこい宗教も独自な理論で様式化する事を好むようで,疑似科学に結びついていることも多いようです.
やはり人間はどこかに「説得されたい」と願う気持ちがあるのでしょう.
そこに付け入るのが疑似科学なんですね.

疑似科学やあやしい学説を科学者の立場からきちんと批判しているサイトは少ないのですがあります.一度,ご覧になることをお奨めします.

市民のための環境学ガイド
(国連大学副学長,安井先生;マイナスイオン批判で有名ですがほかにも参考になるコメント多数)

J.Nakanishi's Home Page
(化学物質リスク管理研究センター長,中西先生;環境リスク学の立場から書かれる“雑感”は目からウロコという情報が多い)

お茶の水大富永研究室 中の 水商売ウォッチング
(山形大学助教授,天羽先生;あやしげな浄水器商売などの非科学的説明をぶった切る,掲示板では活発な意見交換が行われている)

Tsubono Report
(東北大学教授,坪野先生;疫学の立場から健康情報の読み方が伝わってくる.特に健康情報を評価するフローチャートは必読.)

|

« キレたと言う電球 | トップページ | クールビズのあとは »

科学・疑似科学」カテゴリの記事

コメント

まあ、言わんとするところは理解します

ちと、ストレス溜まっていませんか
落ち着いていきましょうね
相手にしないことがいいかもしれません
だって、テレビのなんとか
コンなのに近い

今日、ローカルのハムショップとその近くのショップへ
7と18のコイルを貰いました、というか、注文品受け取り

近くのほうで、アーレンのセットを
買おうとしたら、無いとのこと
はぁー、秋葉原へ行くしかないのか
これって無いと不便だよねぇ
近頃、ボケが始まり
物忘れが多くどこかに仕舞ったんだが
場所を移した先を忘れた

いけませんねぇ
失礼しました

投稿: sky | 2005年8月26日 (金) 17時52分

いや,けっこう現実に困ってるんですよ.
ストレスも溜まろうというもの.
上司が「これって,どうなの?」と次々と持ってくる話が永久機関だったり,波動商法だったり...
ちょっと気を抜くととんでもない話が進んでたりするものでHi
不景気ほど変なのが寄って来ますね.

投稿: Yamada | 2005年8月26日 (金) 19時53分

東京都消費生活総合センター発行誌(無料)『東京くらしねっと』2007年11月号(インターネットでバックナンバー有)で「マイナスイオンをうたう商品について考える」(読者委員・鈴木俊章さん~科学技術コミュニケーションなどの研究されている、消費者相談員資格を持った方だそうです)という記事があります。わずか2ページですが、「未科学」の現状を正しく伝えており、とても参考になるはずです。

投稿: カール | 2009年1月18日 (日) 20時26分

カールさん,はじめまして
古い記事にコメントありがとうございます.

ご紹介のサイトは こちら ですね.

以前, こんな記事 も書きました.
科学的根拠をうたったネット広告にご注意! "「マイナスイオン商品」表示を科学的視点から検証しました"というのが生活文化局から発表されています.

東京都はマイナスイオンやあやしい浄水器についてグッジョブな仕事をときどきしてくれますね.

投稿: Yamada | 2009年1月18日 (日) 22時17分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 疑似科学・未科学:

« キレたと言う電球 | トップページ | クールビズのあとは »